BYD株とは?テスラと並ぶEVメーカーの中国市場での成長性を解説!

いま世界の自動車業界で最も注目される企業の一つがBYDです。「BYD?聞いたことない」という方も多いでしょう。実は、このBYDこそが2023年にテスラを抜いて世界最大のEVメーカーになった中国の会社なのです。

株式投資を考えている方なら、このBYDという名前は絶対に覚えておきたいところ。なぜなら、BYDの株価は過去5年間で約10倍に跳ね上がり、多くの投資家を驚かせているからです。

この記事では、BYDがどんな会社なのか、なぜテスラを追い抜けたのか、そして投資対象としてどう見るべきかを分かりやすく解説します。EVの波に乗り遅れたくない方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

BYDって何の会社?世界を驚かせた中国発EVメーカーの正体

BYDは「Build Your Dreams」の略で、1995年に中国で設立された会社です。現在は世界第2位のEVメーカーとして知られていますが、実は最初からEVを作っていたわけではありません。

1. もともと携帯電話のバッテリーメーカーだった意外な始まり

BYDの創業当初の主力事業は、携帯電話やノートパソコン向けのリチウムイオンバッテリーでした。創業者の王伝福(おう でんふく)氏は、中国の電池業界では知らない人がいないほどの有名人です。

「バッテリーメーカーがなぜEVに?」と思うかもしれませんが、実はこれが大きな強みになったのです。EVの心臓部はバッテリーですから、バッテリー技術に長けた会社がEVに参入するのは理にかなっています。

たとえば、スマートフォンのバッテリーが長持ちするかどうかで使い勝手が大きく変わりますよね。EVも同じで、バッテリーの性能が車の価値を決める重要な要素なのです。

2. 今や世界2位のEVメーカーに成長した驚きの軌跡

BYDが自動車事業に参入したのは2003年のこと。当初は既存の自動車メーカーを買収して始めました。しかし、本格的にEVに力を入れ始めたのは2008年頃からです。

2023年の世界EV販売台数ランキングを見ると、BYDは約302万台を販売し、テスラの約181万台を大きく上回りました。この数字だけ見ても、BYDの成長ぶりがよく分かります。

実は、BYDの躍進には中国政府のEV推進政策が大きく影響しています。中国政府はガソリン車からEVへの転換を国策として進めており、補助金制度も充実しています。BYDはこの追い風をうまく活用したのです。

3. テスラを抜いた販売台数が示すBYDの実力

「でも、安いから売れているだけでしょ?」と思う方もいるかもしれません。確かに価格競争力は大きな武器ですが、それだけではありません。

BYDの強みは「ブレードバッテリー」と呼ばれる独自技術にあります。従来のリチウムイオンバッテリーよりも安全性が高く、充電時間も短縮できる画期的な技術です。

さらに、BYDは部品の多くを自社で製造する垂直統合型のビジネスモデルを採用しています。これにより、コストを抑えながら品質も確保できるのです。まるで昔のトヨタのような製造哲学ですね。

BYDの株価はどう動いている?投資家が注目する理由

BYD株への投資を考えている方にとって、株価の動向は最も気になるポイントでしょう。ここでは、BYD株の基本情報から価格推移まで詳しく見ていきます。

1. 香港市場で買えるBYD株の基本情報

BYD株は香港証券取引所に上場しており、証券コードは「1211」です。日本の証券会社からでもSBI証券や楽天証券などを通じて購入できます。

項目詳細
証券取引所香港証券取引所
証券コード1211
業種自動車・部品
時価総額約1,000億米ドル(2024年9月時点)
従業員数約70万人

ただし、香港株の取引には為替リスクがつきものです。香港ドルと日本円の為替レートが変動すると、株価が上がっても円換算では損失が出る可能性もあります。

2. 過去5年間の株価推移で見る成長の波

BYD株の株価推移を見ると、まさにジェットコースターのような動きを見せています。2019年には40香港ドル前後だった株価が、2021年には一時300香港ドルを超える場面もありました。

最高値(香港ドル)最安値(香港ドル)
2019年52.0537.10
2020年89.5035.50
2021年320.4082.25
2022年333.50145.20
2023年301.40186.90

この急激な値上がりの背景には、世界的なEVブームとBYDの業績急拡大があります。実は、著名投資家のウォーレン・バフェット氏も2008年からBYD株を保有しており、これが株価上昇に拍車をかけました。

3. 時価総額でトヨタに迫る勢いの背景

2024年9月時点で、BYDの時価総額は約1,000億米ドルに達しています。これは、世界最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車の時価総額(約2,500億米ドル)の約4割に相当します。

「中国の会社がトヨタに迫るなんて信じられない」と思うかもしれませんが、これがEVシフトの現実なのです。従来のガソリン車では技術的に追いつくのが困難でしたが、EVという新しい土俵では一気に形勢逆転が起きているのです。

実際、BYDの2023年度売上高は約6,023億人民元(約12兆円)で、前年比42%増という驚異的な成長を記録しました。この成長率は、成熟した自動車業界では異例の数字です。

テスラとBYDを比べてみた!EVメーカー頂上決戦の現実

EVといえばテスラを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、実際の数字を比較すると、BYDの成長ぶりには目を見張るものがあります。

1. 販売台数では既にBYDがテスラを上回っている事実

2023年の世界EV販売台数を比較すると、BYDがテスラを大きく引き離しています。これは多くの人が驚く事実でしょう。

メーカー2023年EV販売台数前年比成長率
BYD約302万台+62%
テスラ約181万台+38%
VW約77万台+35%

この差が生まれた理由は、主に中国市場での圧倒的な強さにあります。中国は世界最大のEV市場であり、BYDはそこで約60%のシェアを握っています。

「でも、テスラの方が高級車でしょ?」という声もありますが、BYDも高級車ラインナップを拡充しています。「漢(ハン)」や「唐(タン)」といった高級セダンやSUVは、テスラのモデルSやモデルXと十分に競争できる性能を持っています。

2. 利益率の違いが示す2社のビジネス戦略

ただし、利益率で比較するとテスラに軍配が上がります。テスラの営業利益率が約8-10%なのに対し、BYDは約3-5%程度です。

指標BYDテスラ
営業利益率約3-5%約8-10%
1台当たり利益約1,500ドル約7,500ドル
R&D投資比率約4%約3%

これは、両社の戦略の違いを表しています。BYDは量産効果でコストを下げ、手頃な価格でEVを普及させる戦略。一方、テスラは高付加価値な製品で高い利益率を確保する戦略です。

どちらが正しいかは市場が決めることですが、BYDのアプローチは新興国での普及には有効だと考えられます。

3. バッテリー技術で差をつけるBYDの強み

BYDの最大の武器は、やはりバッテリー技術です。同社の「ブレードバッテリー」は、リン酸鉄リチウム(LFP)という素材を使用しており、従来のバッテリーより安全性が高いのが特徴です。

実は、テスラも一部車種でBYDのバッテリーを採用し始めています。これは、BYDの技術力をテスラ自身が認めた証拠とも言えるでしょう。

さらに、BYDはバッテリーの外販事業も展開しており、トヨタなどの自動車メーカーにもバッテリーを供給しています。「競合他社にも技術を売る」という柔軟なビジネス戦略も興味深いところです。

中国市場でBYDが圧勝している3つの理由

BYDの成功を語る上で、中国市場での圧倒的な強さは欠かせません。なぜBYDは本国でこれほどまでに支持されているのでしょうか。

1. 手頃な価格で高性能なEVを作る製造技術

BYDの最大の武器は、コストパフォーマンスの高さです。同社の主力モデル「秦(チン)」は約200万円という価格でありながら、航続距離400km超、充電時間30分という性能を実現しています。

モデル名価格(円換算)航続距離充電時間(急速)
秦 PLUS約200万円420km30分
約350万円605km25分
約450万円635km28分

この価格を実現できるのは、部品の約70%を自社で製造する垂直統合体制のおかげです。従来の自動車メーカーは多くの部品を外部調達していますが、BYDは半導体からモーターまで自社で作っています。

たとえば、スマートフォンのAppleが設計から製造まで一貫して管理することで高い品質を実現しているのと同じ発想ですね。

2. 中国政府のEV推進政策をうまく活用

中国政府は2025年までに新車販売の20%をEVにする目標を掲げ、手厚い補助金制度を設けています。BYDはこの政策を最大限に活用しました。

具体的には、EVの購入者に最大約150万円の補助金が支給されたり、ナンバープレートの取得が優遇されたりしています。中国の大都市ではガソリン車のナンバープレート取得が非常に困難なため、これは大きなメリットです。

ただし、これは諸刃の剣でもあります。政策変更によって需要が急減するリスクも抱えているからです。実際、2022年には補助金減額により一時的に販売台数が落ち込む場面もありました。

3. 充電インフラ整備で先行した戦略の勝利

BYDは早い段階から充電インフラの整備に力を入れました。中国国内には現在約150万基の充電スタンドがありますが、そのうち約3万基をBYDが設置したものです。

「充電できない不安」はEV購入の最大のハードルです。BYDはこの不安を解消するため、ショッピングモールやオフィスビル、高速道路のサービスエリアなど、利用者が立ち寄りやすい場所に充電スタンドを設置しました。

さらに、BYDの充電スタンドは他社の車両でも利用可能です。これにより、「BYDにしておけば充電で困らない」というブランドイメージの確立に成功しています。

BYDの業績を数字で見る!売上と利益の成長ぶり

投資判断の材料として、BYDの財務状況を詳しく見てみましょう。数字が示すBYDの成長力は、確かに驚異的です。

1. 2023年決算で見える急成長の実態

BYDの2023年度決算は、まさに圧巻の内容でした。売上高は前年比42%増の約6,023億人民元(約12兆円)、純利益は約81%増の約300億人民元(約6,000億円)を記録しています。

年度売上高(億人民元)前年比純利益(億人民元)前年比
2021年2,161+38%30+628%
2022年4,241+96%166+446%
2023年6,023+42%300+81%

この成長率は、成熟産業である自動車業界では異例の数字です。たとえば、トヨタの2023年度売上高成長率は約24%でしたから、BYDの成長ぶりがいかに凄まじいかが分かります。

実は、この急成長の背景にはEVだけでなく、バッテリー事業の好調もあります。BYDのバッテリー事業は売上高の約20%を占めており、着実に収益源として成長しています。

2. EV事業が全体売上に占める割合の変化

BYDの事業構成を見ると、EV事業の急激な成長がよく分かります。2020年にはEV事業が売上高に占める割合は約50%でしたが、2023年には約70%まで拡大しています。

年度EV事業比率バッテリー事業比率その他事業比率
2020年50%30%20%
2021年58%25%17%
2022年65%22%13%
2023年70%20%10%

この変化は、BYDがEV専業メーカーへと変貌を遂げていることを示しています。ただし、バッテリー事業も安定した収益源として機能しており、事業の多角化によるリスク分散も図られています。

3. 研究開発費への投資が示す本気度

BYDは研究開発にも積極的に投資しています。2023年度の研究開発費は約241億人民元(約4,800億円)で、売上高の約4%に相当します。

これは自動車業界の平均的な水準を上回る投資額です。特に、バッテリー技術や自動運転技術への投資を重点的に行っており、将来の競争力確保に余念がありません。

実際、BYDは2024年に入ってから「第2世代ブレードバッテリー」を発表するなど、技術革新のスピードを緩めていません。この継続的な技術投資が、BYDの長期的な成長を支える原動力となっています。

BYD株投資のリスクも知っておこう

どんな成長株にもリスクはつきものです。BYD株への投資を考える際に知っておくべきリスク要因を整理してみましょう。

1. 中国経済の影響を受けやすい構造的な問題

BYDの売上の約80%は中国国内からのものです。そのため、中国経済が減速すると、BYDの業績も直接的な影響を受けます。

2022年後半から2023年前半にかけて、中国ではコロナ規制の影響で消費が低迷しました。この期間、BYDの株価も大きく下落し、投資家の不安が高まりました。

さらに、中国の不動産市場の低迷も懸念材料です。不動産価格の下落により消費者の購買力が低下すれば、高額商品であるEVの販売にも影響が出る可能性があります。

実際、中国の消費者信頼感指数は2023年平均で95.4と、コロナ前の水準を下回ったままです。この状況が続けば、BYDの成長ペースも鈍化するかもしれません。

2. 海外展開の遅れがもたらす成長の限界

BYDの海外進出は始まったばかりで、欧州や北米での認知度はまだ低いのが現状です。中国市場だけでは、長期的な成長には限界があります。

地域BYDのEV販売台数(2023年)市場シェア
中国約280万台約35%
東南アジア約15万台約8%
欧州約5万台約2%
その他約2万台約1%

特に欧州では、フォルクスワーゲンやBMWなどの老舗メーカーとの競争が激化しています。これらのメーカーもEVシフトを加速させているため、BYDが簡単にシェアを獲得できるとは限りません。

また、海外展開にはブランド構築や販売ネットワークの整備に時間とコストがかかります。この投資が回収できるまでには、数年の時間が必要でしょう。

3. 米中関係悪化が株価に与える影響

地政学的なリスクも無視できません。米中関係の悪化により、BYD株は政治的な思惑で売買されることがあります。

2022年には、米国政府がウイグル自治区での強制労働に関連した制裁措置を強化し、中国企業への投資規制を検討すると発表しました。この報道を受けて、BYD株を含む中国株全般が急落する場面がありました。

さらに、米国市場への進出も困難な状況が続いています。米国政府は中国製EVに対して高い関税を課しており、BYDが米国で車を販売するハードルは非常に高くなっています。

このような政治的なリスクは、企業の業績とは関係なく株価に影響を与えるため、投資家にとって予測困難な要因となっています。

今後のBYDはどうなる?成長性を左右する3つのポイント

BYDの将来を占う上で、特に注目すべき3つのポイントがあります。これらの要因が、今後の株価を大きく左右するでしょう。

1. 欧州市場での本格展開が成功のカギ

BYDにとって欧州市場の攻略は、次の成長ステージへの鍵となります。欧州のEV市場は年率約30%で成長しており、巨大な機会が待っています。

2024年に入り、BYDは欧州での販売を本格化させています。ドイツやフランス、イタリアなどの主要国でディーラー網を拡充し、「ATTO 3」や「漢」などの主力車種を投入しました。

展開予定時期主力モデル想定価格帯
ドイツ2024年前半ATTO 3, 漢3.8万ユーロ〜
フランス2024年後半ATTO 3, 元PLUS3.5万ユーロ〜
イタリア2024年後半DOLPHIN, 漢2.9万ユーロ〜

ただし、欧州市場は品質や安全性への要求が厳しく、ブランド力も重要な要素です。BYDが欧州の消費者に受け入れられるかどうかが、今後の成長を大きく左右するでしょう。

2. 自動運転技術でテスラに追いつけるか

EVの次の競争領域は自動運転技術です。この分野では、テスラやGoogleのWaymoが先行しており、BYDは後発組となります。

BYDは2023年から自動運転技術の開発を本格化させ、「DiPilot」というシステムを発表しました。しかし、まだレベル2(部分自動化)の段階で、テスラの「フル自動運転」には技術的に遅れをとっています。

自動運転技術の開発には膨大な投資が必要です。BYDが限られた資源を効率的に活用し、どこまでテスラに追いつけるかが注目されます。

実は、BYDは自動運転技術で先行するバイドゥ(百度)との提携も発表しています。このような戦略的パートナーシップを活用することで、技術面での劣勢を巻き返せるかもしれません。

3. バッテリー技術の外販ビジネスの可能性

BYDのバッテリー技術は、自社のEV以外にも大きなビジネスチャンスを秘めています。実際、トヨタやフォード、テスラなどの自動車メーカーがBYDのバッテリーを採用し始めています。

この外販ビジネスが拡大すれば、BYDは「EV販売が好調な時はEV事業で稼ぎ、不調な時はバッテリー供給で稼ぐ」という安定的な収益構造を築けます。

顧客メーカー採用モデル契約期間
テスラModel 3(一部)2024-2026年
トヨタ次世代EV2025年〜
フォードF-150 Lightning2024年〜

さらに、定置用蓄電池市場でもBYDの技術が注目されています。太陽光発電の普及に伴い、蓄電池の需要は急拡大しており、この分野でも大きな成長が期待できます。

まとめ

BYDは単なる中国のEVメーカーではなく、バッテリー技術を武器に世界の自動車業界に革命を起こそうとしている企業です。テスラを上回る販売台数や驚異的な成長率は、その実力の証明と言えるでしょう。

投資対象として見ると、BYD株には大きな成長ポテンシャルがある一方で、中国経済の影響や地政学リスクなどの不安要素も抱えています。特に、海外展開の成否が今後の成長を大きく左右するため、欧州市場での動向は要注目です。

EVシフトという大きな潮流の中で、BYDがどこまで成長できるのか。その答えは、これからの数年間で明らかになるでしょう。投資を検討される方は、リスクを十分に理解した上で、長期的な視点で判断することをお勧めします。

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